人殺しのシェイクスピアー

起き抜けに「なんだまた今日も仕事か」と独り言を言う。友人が労働で精神をやられている話をとても悲しがって聞いていたけれど、私も大概で、仕事に間に合わないとかものすごく失敗するとかの夢を平日は見ていてなんだかばかみたいだなと思う。しかし大学卒業と同時に借金まみれの私は労働し続けるしかなくて、どうしようもないので有休をどんどん使っている。
日常、ありえないスピードで過ぎ去っていく。1ヶ月単位で仕事が進むので、前回の〜と考えていると1ヶ月の早さに驚愕するのだった。しかし一方で私が歳を取るのはあまりにも遅く、いつまで経っても新人だしいつまで経っても「若いうちはね、」と言われ続ける。私ははやくおばさんになって庭の花の世話をしたり家の日向に寝そべって老いていく体を嘆いたり猫を揉んだりしたいのだけど、そのためにこの先の10年間をスキップして進みたいのだけど、どうしても毎日をこなして進めて行くしかないようで全く本当にどうしようもないなと思う。
先週の日曜にロミオとジュリエットのバレエを観た。観たと言っても映画館で上映されているものだったのだけどとにかく私は感動してしまって、でも映画館にバレエを観に来るような人っていうのはもう何度もバレエを見てきているような人のようだったので私は一人で大泣きしていた。ああ全く恥ずかしいことよ。しかし人間の美しさというのはこういうものだよなと思う。私も幼稚園児の頃にバレリーナになりたくて憧れていたものだけど、私の家には財力もセンスもなかった。しかしそれはもうどうしようもなくて、私の人生の、人の人生の過ぎてしまったことというのはもうどうしようもなくて、どうしようもないことをどうにかすることはできないので私は日常に囚われて文化の美しさを忘れないように、あるいは電車や駅や公園や人間の生活の美しさを忘れないように、そうやって生きていくように努力しなくてはと思う日々よ。